2022年5月7日土曜日

紀貫之・その2、恋の相手は誰だったのか

 紀貫之・その2

■ 表歌、即ち、代表歌は作者と第三者では評価が違う。
■ 百人一首で定家は「人はいさ心もしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける(古今42)」を選んでいる。
■ この歌は貫之としては単なる、やりとりの歌、に過ぎなかったかもしれない。
■ 古今和歌集は貫之が選んだのだからそこに彼自身の代表かがあってもおかしくない。
■ 最後を飾っているのが、「道しらば」の歌だ。
  • 道しらば摘みにもゆかむ 住江のきしに生ふてふ恋忘れぐさ  つらゆき
  • その場所を 訪ねてみんか ひとり我 恋や忘るか ユウスゲの花   遊水
■ 彼の恋の相手は誰だったのか
  • 逢ふことは雲ゐはるかになる神の音に聞きつつ恋ひ渡るかな(古今482)
  • 色もなき心を人にそめしよりうつろはむとは思ほえなくに(古今729)
  • 玉の緒のたえてみじかき命もて年月ながき恋もするかな(後撰646)
 藤原定家や西行と同様で、皇族の人だろう。
■ 「逢ふことは雲ゐはるか」ということだから、片思いでしかなかったようだ。
■ だからだろうけれど、「道しらば」の歌には切実感が感じられない。
■ 「恋忘れ草」を摘んだところで、忘れるとも思えないし、それほどの問題でもない感じだ。
■ だいたい「恋」しか関心事はないのかと思うが、
■ それが当時としては歌の題材としての関心事、風潮だったのだろう。
■ ところで、相手探しは可能かどうか、彼の歌をすべて検討し、
■ 当時の可能性のありそうな女性を取り上げて、消去法で残ったひとであるかもしれない。
■ このようなことで、和歌の世界をよく知ることができるかもしれない。
■ 紀貫之の歌は
  • 勅撰和歌集に 435首
  • 古今和歌集のみでは 101首
■ のようだ。