四季の遊び

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四季の遊び
 
十一組





行く春を破意句あそびに興じつつ
 
 


鶏が三歩あるけば春やんか

からころと下駄が歩けば夏やんか

ひっそりと猫が歩けば秋やんか

人の街カラス歩けば冬やんか
 

 
ほんとなの。おババ微笑み日向ぼこ




買い物をしたくなったら春である

新聞が重くなったら夏である

ふるさとが恋しくなれば秋である
 
朝起きて音がなければ雪である

 
 
遊ぶ声絶えて砂場に雨が降る
 
 
ブランコの軋みがとれて春盛り

人去って晩夏落日滑り台

逆上がりくるりと回り秋深し

真冬なるジャングルジムに錆の出て

 
 
五線紙に秋の気持ちを書いてゆく
 



アンダンテ淀の堤の暮春かな

木漏れ日やト音記号をまず書いて

散る枯れ葉ピアニッシモとなりにけり

太鼓打つどどんどどんと冬の海

  
 
 
 新年の喜びの酒交わすかな


春炬燵空の徳利転がして

なによりもグラス冷やして飲むビール

新涼やワイン一瓶欲しくなり

粉雪と共に入りたる酒場かな




 
病む蝶は明石海峡渡るかな

 

雪解けの脳にこつんと響きけり

蟻んこが脳のどこかに巣を作り

大脳の右のあたりの秋の風

冬の海、脳の内なるメゾフォルテ





みんな嘘悪し日の華が臭うのさ
 
 

 
春が来た風の薫りが好きだから

夏が来た潮の香りが好きだから

秋が来た金木犀が好きだから

冬が来た本のにおいが好きだから




 
なんとなくそんなもんだよ春の風

 

春の句をうらら気分で作りけり

夏の句をよそゆきせずに作りけり

秋の句をちょっと気取って作りけり

冬の句を自堕落になり作りけり

 
 
 
とりあえず四句書き留め春を待つ
 

 
ある朝の春の匂いのほのかなる

ある朝のめざめに夏の光かな

ある朝の秋の気配の枕かな

ある朝の冬の唇乾きけり




 
 
去年今年 なんでもござれ いろは歌

 


春風に いろはにほへとちりぬるを

空蝉の わがよたれそつねならむ

紅葉する うゐのおくやまけふこえて

もう暮れか あさきゆめみしゑひもせず

 
 

いろは歌遊びとなして炬燵かな


 

青春の いろはにほへとちりぬるを

盛夏なる わがよたれそつねならむ

晩秋の うゐのおくやまけふこえて

除夜の鐘 あさきゆめみしゑひもせず