2026年1月7日水曜日

和泉式部と紫式部

■ 和泉式部の歌をいくつか拾ってみよう。

  秋吹くは いかなる色の 風なれば 身にしむばかり 人のこひしき
  黒髪の みだれもしらず うちふせば まずかきやりし 人ぞこひしき
  あらざらむ この世のほかの おもひでに いまひとたびの 逢ふこともがな
  くらきより くらき道にぞ いりぬべき はるかに照らせ 山の端の月
  すてはてんと おもふざへこそ かなしけれ 君になれにし 我とおもへば
  世の中に こひてふ色は なけれども 深く身にしむ ものぞありける
  ものおもへば 沢のほたるも 我が身より あくがれいずる 魂かとぞ見る

■ 最初の歌と、最後の歌を取り上げる。

  秋吹くは いかなる色の 風なれば 身にしむばかり 人のこひしき
  母逝きて いつしかときは すぎゆきて 身にしむ色の 秋風ぞ吹く  遊水

  ものおもへば 沢のほたるも 我が身より あくがれいずる 魂かとぞ見る
  声はせで 身をのみこがす 蛍こそ 言ふよりまさる 思ひなるらめ  玉鬘

■ 紫式部は清少納言や和泉式部について辛口の評があるのはよく知られている。玉鬘は源氏物語の架空の人物なので、作者は紫式部である。紫式部は和泉式部のこの歌は知っていたと思われるが、どうだろう。「思ひなるらめ」と書くところに物語とする紫式部の立位置があるのかと思う。
■ ついでながら、都都逸にも作られている。
 
  恋に焦がれてなく蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす