鵲の橋
■ 幾つか拾ってみた。
- 振り放さけて三日月見れば一目見し人の眉引思ほゆるかも(6-994)
- 世間は数なきものか春花の散りのまがひに死ぬべき思へば(17-3963)30歳
- 春の苑紅にほふ桃の花したでる道に出で立つ乙女(19-4139)
- 物部の八十乙女らが汲みまがふ寺井のうへの堅香子の花(19-4143)
- 石瀬野に秋萩しのぎ馬並めて小鷹狩だにせずや別れむ(19-4249)
- 春の野に霞たなびきうら悲しこの夕影に鶯鳴くも(19-4290)
- 我が屋戸のいささ群竹ふく風の音のかそけきこの夕へかも(19-4291)
- うらうらに照れる春日にひばりあがり心悲しも独りし思へば(19-4292) 36歳 753-02-25
- 新しき年の初めの初春の今日降る雪のいや頻け吉事 (20-4546) 42歳、最終歌
■ 大友旅人
- 験なき物を思はずは一坏の濁れる酒を飲むべくあるらし(3-338)
- 生まるれば遂にも死ぬるものにあればこの世なる間は楽しくをあらな(3-349
■ 年齢にもよるだろうが、
■ 大友家持は父旅人と比較し線が細い感じだ。
■ 優しさがある。
■ それゆえか、貶められ不遇だった、とするのは適当とは思えないけれど、
■ 大友一族は当時の政争に巻き込まれたという感じか。
■ 家持は、武人で桓武天皇の延暦元年に、東宮太夫兼、陸奥按察使鎮西将軍として赴いた。
■ 同3年に中納言になり、同4年に亡くなっている。68歳 785-08-xx
■ ついでながら、薨ずる、とか「みまかる」という語がパソコンでは変換されなかった。
■ 家持は鷹を飼っていて、万葉集にも幾つか歌がある。
■ 小鷹狩りの小鷹は大鷹の雄で、雌より小柄で鶉などを対象にした。
■ さて、
- かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける(新古620)
■ 「鵲のわたせる橋」を現実の「宮中の御橋」とするようだが、
■ 宮中のことなど知らないことだし、大伴家持の心を推測することではなく、
■ 鵲の橋は、仰ぎ見る天の川として捉えたい。
- あまのかわ ふりさけみれば かささぎの はしとわたして よはふけにける // 遊水
■ 霜ということばから、
- 月落烏啼霜満天
■ こんな漢詩も思い浮かべた。
■ カササギはカラスの一種で、ユーラシア大陸+北アメリカに広く生息する。
■ 水滸伝にも出てくる。喜鵲と言われ、縁起がいいので
- 月落鵲啼霜満天
■ この方がよさそうにも思うが、どうかな、
■ 関係はないけれど。