2025年8月18日月曜日

枕草子、和歌のやり取り、追記

■ 2025-08-18
■ 90段に、次のような和歌のやり取りがあったけれど、状況が分からなければ、和歌だけでは分かりにくいように思った。
あしひきの山井の水はこおれるを
いかなるひものとくるなるらむ

■ 清少納言が助太刀して、
うわごおりあわにむすべるひもなれば
かざす日かげにゆるぶばかりを

■ ひも 
氷面
■ とける、ゆるぶ
氷が解ける
結んだ紐が解ける

■ 舞姫は12才で、まだ大人の恋をするには幼かった、と補わなければ理屈に合わないように思う。
■ というのも、
小兵衛といふが、赤紐のとけたるを、「これ結ばばや」といへば。実方の中将よりてつくろふに、ただならず、「あしひきの山井の水はこおれるを・・・」といひかく。年わかき人の、さる懸想のほどはいひにくきにや、返しもせず。
■ ここで、小兵衛といふ女房が「年わかき人」ではないような感じだ。小兵衛が気がついて言ったのだろう。
■ 「山井の水」には、若い、という意味をもたせている。
■ 大庭みな子は、
あなたはまだお若すぎてその心は男の気持ちなどおわかりにならず、まだこおっている山の井のようですのに、どうしてまた、ひも(氷面)がとけたんでしょうね、となぞをかけたのだ。小兵衛はまだ年若いひとで人前でそんなことをいわれて、はずかしいので返歌もしなかった。
■ と、あるが、この小兵衛の女房は87段にも出て来る人で、それほど若くはないように思う。自分のひもが解けたのに気付いたら自分で直すだろう。中将の位にある実方に、女房の身分である自分の紐を結ばせるはずがない。
■ ゆるく結んでいたので解けただけで男相手に解いたわけじゃないのです、と清少納言は代わりに歌に詠んだのだが、どもり癖の人を介してだったのでうまく伝わらなかった。
■ ところで、Pillow Book を見れば、・・・
'A wintry indifference
freezes the well's blue waters
to a knot of ice.
How might I melt the cord
and loosen its ice knot?'

■ なんか分からん。
氷が張ることを「結ぶ」と呼ぶ
■ 掛詞が理解できなくても、 意味を感じ取れないのか。
■ ついでながら
  • 袖ひちて むすびし水の こほれるを 春立つけふの 風やとくらむ  紀貫之
■ 袖を濡らして掬った水が凍ったのを 立春の今日の風が解かすだろう。
「むすびし水」は「凍った水」なのに「凍れるを」とするのは多少うるさい。



蘭省花時の錦の帳の下草のいほりをたれかたづねむ
山をよむ斧の響きを尋ぬればいはひの杖の音にでありける
あしひきの山井の水はこはれるをいかなるひものとくるなるらむ
うはごおりあはにむすべるひもなればかざす日かげにゆるぶばかりを
夜をこめて鳥のそらねははかるとも世に逢坂の関はゆるさじ
逢坂は人超えやすき関なれば鳥鳴かぬにもあけて待つとか
いかにしていかに知らまし偽りを空似ただすの神なかりせば
うすさ濃さそれにもよらぬはなわゆゑにうき身のほどを見るぞわびしき
みな人の花や蝶やといそぐ日もわが心をば君ぞ知りける
山ちかき入相の鐘の声ごとに恋ふる心の数は知るらむ
さかしらに柳の眉のひろごりて春のおもてを伏する宿かな
いかにして過ぎにしかたを過ぐしけむくらしわづらふ昨日今日かな
雲の上もくららしかねける春の日を所がらともながめつるかな
薪こることは昨日に尽きにしをいざ斧の柄はここに朽たさむ
誓へ君遠江の神かけてむげに浜名のはし見ざりまや
あふさかは胸のみつねに走り井の見つくる人やあらむと思へば
思ひだにかからぬ山のさせも草誰かいぶきのさとはつげしぞ

2025年8月16日土曜日

枕草子・pillow book・枕本?・枕絵、白頭老監枕書眠

「学者として、私は、平安文学、近世のエロチック文学や・・・」
■ この人、何を言うか、という感じがした。
■ 小説や随筆、などという分類用語は本を読むときに不必要だと思われる。
■ 後で見てみよう。



「女子高において自然発生しがちな極私的回覧雑誌ーーと、とてもよく似ている。

■ 2225-08-16
■ 枕草子を pillow book と訳すのは誤解の原因になりかねない。
  • 広辞苑 枕に今日の 昼寝かな  遊水
■ 枕草子はかなりの分量だった。印刷と違い、筆で書かれている。
■ 積み上げればどの程度の厚さになったのか。


2025年8月14日木曜日

清少納言は白氏文集を見たのか、追記

■ いつの頃からか、言葉に関することに興味があることがはっきりしてきた。
■ 何が書かれているのか。
■ さらには、文字や言葉ばかりでなく、何が描かれているのか、
■ 人の解釈など見て、それでいいのか、というようなことに気が付くようにもなった。
■ 要するに事実とは何か、を知りたいと思う。
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■ 2025-08-14
■ 清少納言は白氏文集を見たのか、という疑問がわいてきた。
■ 枕草子・第八十二段

白氏文集卷十七
廬山草堂 夜雨独宿、牛二・李七・庾三十二 員外寄す 白居易

丹霄攜手三君子
白髮垂頭一病翁
蘭省花時錦帳下
廬山雨夜草庵中
終身膠漆心應在
半路雲泥迹不同
唯有無生三昧觀
榮枯一照兩成空

和漢朗詠集巻下「山家」
蘭省花時錦帳下 廬山雨夜草庵中

藤原公任 草の庵を 誰か訪ねむ
蔵人挙直 九重の 花の都を おきながら

■ 清少納言は、和漢朗詠集を見ていたことは確かなように、と思われる。

和漢朗詠集巻下「山家」
  1. 遺愛寺鐘欹枕聴 香炉峰雪撥簾看
  2. 蘭省花時錦帳下 廬山雨夜草庵中
■ 「蘭省花時錦帳下、と書きて「末はいかに、いかに」とあるを、いかにかはすべからん、」
とあるが、白居易の元の詩の「末」即ち最後は「榮枯一照兩成空」」になるが、求めているのは続く句「廬山雨夜草庵中」だから、要求してきたのは和漢朗詠集の下の句のようだ。このことからすると、清少納言は白居易の元の歌を全て知っていたかもしれないが、和漢朗詠集が頭に浮かんだのは間違いない。なので、和漢朗詠集の編者・藤原公任の「草の庵を 誰か訪ねむ」と続けて返したのだった。
■ このあたりを、Pillow Book では
'How should it end, tell me?'
■ としているのは和漢朗詠集の存在を知らないのかもしれないなどとも思う。幾つかの訳本があるだろけれど、せめて下の句、あるいは、次の句とでも表現してくれれば、と思う。「end」はないだろう。当時の世の中で白氏文集の影響があったことが基礎知識としてあるのかどうか、よく知らないけれど、些細な重箱の隅しか見てないので分からないが、ちょっとそんな感じがした。
■ 枕草子・第二九九段

香炉峰下新卜山居草堂初成偶題東壁 白居易

日高睡足猶慵起
小閣重衾不怕寒
遺愛寺鐘欹枕聴
香炉峰雪撥簾看
匡廬便是逃名地
司馬仍為送老官
心泰身寧是帰処
故郷何独在長安

■ 和漢朗詠集の「白」の詩はたくさんある。
■ もう少し、これらを見てみよう。

2025年8月13日水曜日

大庭みな子・現代語訳・枕草子

■ 2025-08-13
■ 先日買った、大庭みな子・現代訳・枕草子の最後の部分を読んでいたら、
「これになにを書きましょうね。帝は「史記」という本をお写させなさいましたそうよ。」
と、宮さまがおっしゃるので、
「枕のことばをあつめて書きしたら。」
と申し上げた。書を枕にしてねむる白氏のことを思いだして、こころにうかぶことばの数々に、魂をこめてのこしたらと思ったのだ。

■ などと書いている。
■ 「書を枕にしてねむる白氏」などと原文に書いてあったのか、と疑問に思い、池田亀鑑校定・枕草子を見た。
■ 書いてない。
■ どうも大庭みな子が書き足したようだ。
■ 「書を枕にしてねむる白氏」というからには白居易の詩があるのだろう。
■ 一応、google すると、・・・

 白氏文集卷五十五 秘省後廳 白居易
槐花雨潤新秋地
桐葉風翻欲夜天
盡日後廳無一事
白頭老監枕書眠

■ この詩の最後から採ったようだ、と分かったのだけれど、池田亀鑑校定・枕草子の解説・書名のところに「秘省後庁と題する詩、・・・」に拠るものではないかとする筆者の見解、とちゃんと書いてあった。
■ こんなふうに、大庭みな子が、あたかも清少納言が思い出したかのように、書き足していたり、彼女の言葉で書いているので、それに気づけば、なるほどな、とオモシロイ。


2025年8月12日火曜日

「ひとつだけ」ふっくらと これはおいしい たきかげん しんまいですよと つまのこえする // 遊水

■ 2025-08-12
■ 例えば、辞世は、一つだけ的だけれど、人それぞれで人の数だけある。
■ 百人一首も一つだけ、の典型だけれど、百首ある。
■ 以前、自分も、できれば、辞世の歌を詠めるようにした方がいいかな、と思っていたこともある。
■ 今は、「ひとつだけ」と、限定的でなくてもいいような気がしている。
■ そもそも、世に知られているわけでもないので、辞世を読むことの意味がない。
■ だから、一つだけ、を選ぶとすれば、ごく個人的な、一首、や、一句になる。
■ それでいいのではないかと思う。
■ なんだ、そんなものか、といわれたとしても、平気だ。
  • ふっくらと これはおいしい たきかげん しんまいですよと つまのこえする // 遊水
  • あおりんご あなたはいつも といかける  遊水
■ 一番親しい家族なのだから。
■ もっとも、短歌や俳句に限らず、なんでもいい、ひとつだけ、なら「君はまっすく僕の目を」かな。

2025年8月8日金曜日

閲覧数ランキング 2025-08-08

■ 2025-08-08
■ きのう、時々、電話をしてくる男が、
■ 本を出版すると言ってたけど出したのか、という。
■ うん。
■ 送ってよこせば、読んでやるけどと、・・・
■ 中学時代の同級生だが、住所は知らない。
■ 本は販売委託先にある。
■ 本屋などで注文することになる。
■ それで思いついた。
■ このサイトを見ている人はどの程度いるのか、・・・
■ 

■ どれだけ売れたのかは半年ごとに分かる。
■ 読んでみたいと思う人がどれだけいるかは分からない。
■ まあ、売れたからと言って利益が出るものでもない。
■ 読んで、参考にしてくれればいいなと思う。

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