■ 先日買った、大庭みな子・現代訳・枕草子の最後の部分を読んでいたら、
「これになにを書きましょうね。帝は「史記」という本をお写させなさいましたそうよ。」と、宮さまがおっしゃるので、「枕のことばをあつめて書きしたら。」と申し上げた。書を枕にしてねむる白氏のことを思いだして、こころにうかぶことばの数々に、魂をこめてのこしたらと思ったのだ。
■ などと書いている。
■ 「書を枕にしてねむる白氏」などと原文に書いてあったのか、と疑問に思い、池田亀鑑校定・枕草子を見た。
■ 書いてない。
■ どうも大庭みな子が書き足したようだ。
■ 「書を枕にしてねむる白氏」というからには白居易の詩があるのだろう。
■ 一応、google すると、・・・
白氏文集卷五十五 秘省後廳 白居易
槐花雨潤新秋地
桐葉風翻欲夜天
盡日後廳無一事
白頭老監枕書眠
■ この詩の最後から採ったようだ、と分かったのだけれど、池田亀鑑校定・枕草子の解説・書名のところに「秘省後庁と題する詩、・・・」に拠るものではないかとする筆者の見解、とちゃんと書いてあった。
■ こんなふうに、大庭みな子が、あたかも清少納言が思い出したかのように、書き足していたり、彼女の言葉で書いているので、それに気づけば、なるほどな、とオモシロイ。
■ ただ、「枕のことばをあつめて書きしたら。」でいいのか。原文を見た。
- 枕にこそは侍らめ
■ 「枕にしたらいいですね」かなりの分量だったので「枕にできますね」という感じ。