■ いつの頃からか、言葉に関することに興味があることがはっきりしてきた。
■ 何が書かれているのか。
■ さらには、文字や言葉ばかりでなく、何が描かれているのか、
■ 人の解釈など見て、それでいいのか、というようなことに気が付くようにもなった。
■ 要するに事実とは何か、を知りたいと思う。
--------------------------------------------------
■ 清少納言は白氏文集を見たのか、という疑問がわいてきた。
■ 枕草子・第八十二段
廬山草堂 夜雨独宿、牛二・李七・庾三十二 員外寄す 白居易
丹霄攜手三君子
白髮垂頭一病翁
蘭省花時錦帳下
廬山雨夜草庵中終身膠漆心應在
半路雲泥迹不同
唯有無生三昧觀
榮枯一照兩成空
和漢朗詠集巻下「山家」
蘭省花時錦帳下 廬山雨夜草庵中
藤原公任 草の庵を 誰か訪ねむ
蔵人挙直 九重の 花の都を おきながら
■ 清少納言は、和漢朗詠集を見ていたことは確かなように、と思われる。
和漢朗詠集巻下「山家」
- 遺愛寺鐘欹枕聴 香炉峰雪撥簾看
- 蘭省花時錦帳下 廬山雨夜草庵中
■ 「蘭省花時錦帳下、と書きて「末はいかに、いかに」とあるを、いかにかはすべからん、」
とあるが、白居易の元の詩の「末」即ち最後は「榮枯一照兩成空」」になるが、求めているのは続く句「廬山雨夜草庵中」だから、要求してきたのは和漢朗詠集の下の句のようだ。このことからすると、清少納言は白居易の元の歌を全て知っていたかもしれないが、和漢朗詠集が頭に浮かんだのは間違いない。なので、和漢朗詠集の編者・藤原公任の「草の庵を 誰か訪ねむ」と続けて返したのだった。
■ このあたりを、Pillow Book では
'How should it end, tell me?'
■ としているのは和漢朗詠集の存在を知らないのかもしれないなどとも思う。幾つかの訳本があるだろけれど、せめて下の句、あるいは、次の句とでも表現してくれれば、と思う。「end」はないだろう。当時の世の中で白氏文集の影響があったことが基礎知識としてあるのかどうか、よく知らないけれど、些細な重箱の隅しか見てないので分からないが、ちょっとそんな感じがした。
■ 枕草子・第二九九段
香炉峰下新卜山居草堂初成偶題東壁 白居易
日高睡足猶慵起
小閣重衾不怕寒
日高睡足猶慵起
小閣重衾不怕寒
遺愛寺鐘欹枕聴香炉峰雪撥簾看
匡廬便是逃名地
司馬仍為送老官
心泰身寧是帰処
司馬仍為送老官
心泰身寧是帰処
故郷何独在長安
■ 和漢朗詠集の「白」の詩はたくさんある。
■ もう少し、これらを見てみよう。